Posted on : December.26.2022
10月下旬、東京でのゴールデンガールに続き、5回の世界チャンピオンに輝くカリッサ・ムーアが来日し、日本のキッズサーファーへ向けてトレーニングキャンプを開催しました。
そこにはHurley Japan契約選手の馬庭彩選手も通訳やサポート役として参加。
幼い頃からカリッサに憧れ続けてきた馬庭選手が、4日間共に過ごした日々を日記として綴ってくれました。
11月1日
今日はついにカリッサと会える日。自分がサーフィンを本気でやるきっかけをくれた人だから、緊張しすぎて2日前くらいからずっとソワソワしていた。
Hurleyのターさんと朝5時に茅ヶ崎を出発し牧之原ウェーブプールへ。ターさんは優しくて面白い。ウェーブプールに集合時間より20分早く到着。カリッサとカリッサのパパ(クリス)そして付き添いの方が歩いてくるのが見えたので、Hello Carissaと緊張を押し殺して全力で声をかけた。自分の名前を言う前にAre you Sai?とカリッサが聞いてくれた時は本当に嬉しかった。人の良さが話し方や立ち方からにじみ出ていた。自分はミーハーではないと思っていたが、こんな一面があるのかと自分でも驚いた。
ウエットに着替えて中(ウェーブプール)においでと言われたので、今までの人生で一番早く着替えてカリッサの後を追った。ウェーブプールに入るとNSA強化部の人やジュニア強化指定の子達もいた。ウエットで板を持ちながら登場したが、保険の関係で朝2時間のウェーブプールはサーフィンできなかった。実際、人生初めてのウェーブプールだったし、カリッサと一緒にサーフィンする気満々で来たから悲しくなかったといえば嘘になるけど、今思うと陸でカリッサやカイ、ジュニア強化指定の子達のサーフィンをみっちり2時間見た事はとても価値のある時間だったと思う。けれどみんなのサーフィンを見ている私にカリッサは何度も‘大丈夫ですか?’と日本語で言いに来てくれた。どこまで優しいんだ、と思った。
カリッサのサーフィンはパワーがあるのにフローもしっかりあって何よりラインが太い。見ていて楽しい。
自分にはもっとフローが必要だと思った。カイもジュニアの子達も、と言ってもいつも試合で戦っているメンバーだが、うまかった。
プール後は牧之原市役所に行って表敬訪問だったのだが、英語が喋れたので、まさかの通訳という大役を任された。カリッサの言葉を日本語に略し市長やみんなに伝える。カリッサの言葉の重みをそのまま日本語で表せるように、最良な日本語の単語を選択する為に全集中した。
会見は上手くいって、Team USAのマネージャーのJhonさんが自分の通訳を気に入ってくれてカリッサのこれからのすべてのスピーチ、会話に通訳として手伝うことになった。通訳は予想外だったけどカリッサの隣にずっと入れる事は何よりも嬉しかった。
時々、これは現実か確認していた。その後、カリッサとTeam USA(クリス、カイ、カイのパパ、マネージャーのジョンさん)のみんな、市の偉い方々、NSA強化部のみんなでランチをしてそこでもカリッサはスピーチをして自分は通訳をした。
ホテルに戻って、午後のウェーブプールが始まった。カリッサと市長が話してくれて、自分もウェーブプールでサーフィンできる時間を設けてくれた。本当に感謝しかなかった。初ウェーブプールはとっても楽しかったし、イメトレは十分だったからコツは掴んでいた。水の中で見るカリッサのサーフィンはもっと迫力があって様々な学びを得ることができた。
夜ご飯はカリッサとTeam USAの人達と食べて、沢山カリッサと会話して聞きたいこと全部聞いた。帰りはスーパーに行って買い物。カリッサは抹茶がすごく好きらしくて、オススメの抹茶のお菓子を教えたら買っていた。言葉では表せないほど充実した時間だった。こんなに長く日記を書いたのは初めだ。明日が待ち遠しい。
1日目、完。
11月2日
8時、ウェーブウールに集合。昨日と同じようにカリッサ、カイ、ジュニア強化指定メンバーでの2時間の練習が始まった。自分は朝の練習は参加できないのでまた見学していた。カリッサは波のコツを掴んだと昨日よりさらにキレキレだった。エアーリバースもメイクしていた。
練習後は牧之原小学校に向かった。子供達はもちろん先生方のカリッサを見る目もまた輝いていた。カリッサが夢を持つことの重要性を始め、感謝を忘れないこと、自分と常に戦うこと、そして可能性は無限大だという事を小学生に向けてスピーチした。それを私は翻訳していたのだが、ただただカリッサの口から出る言葉に感動させられっぱなしだった。
スピーチ後は小学生達がソーラン節を見せてくれた。迫力がすごく、美しかった。
ホテルに戻り、プールのレストランで昼食をとり少し休憩。夕方は2時間、私も参加できるウェーブプールでの練習。カリッサは何本か乗ったらカリッサのパパ、クリスと話し合ってまたウェーブプールに戻っていた。クリスは落ち着いていて誠実でカリッサと人格含めそっくりだと思う。サーフィンの知識がとても豊富。練習後、本当はこの日で帰る予定だったが、もう一泊延長できないかとカリッサとマネージャーのジョンさんが言ってくれたので延泊になった。
夕飯はカリッサ、クリス、カイ、カイパパ、ジョンさん、私の6人でコース料理だった。私が聞いていいのかと思うくらい色々と深い話をしていた。自分の将来へのプランとかも聞かれた。試合より緊張した空間だった。食事が終わり、カイとカイパパとゴルフをして就寝した。
11月3日
朝一、歩いて静波でサーフィン。波は小さかったが少し遊べた。帰り道カリッサに会った。ウォーキングをしに行くとのこと。朝食を軽くとり、茶葉畑に行った。カリッサはそこで抹茶のお土産を大量に買っていた笑。7種類の濃度別抹茶ジェラートをカリッサが全種類ご馳走してくれてみんなで食べ比べた。
その時、カリッサ、カイ、カイパパが私の地元、湘南に行きたいと言い、急遽その3人が明日湘南に来ることになった。その後は、茅ヶ崎市長、カイ、カイパパ、市役所の方々とサッカーをした笑。とても楽しかったし、みんなも本当に楽しそうだった。
その後は中学校に行ってカリッサのレシピの抹茶プロテインボールをみんなで作った。静岡県のお茶を急須で入れる体験もした。
その後は牧之原市と下田市の18歳位以下の子達と一緒にウェーブプールでサーフィンした。カリッサがアドバイスをして、クリスとカイパパが小さい子達をプッシュして、私とカイが準備運動を教えた。最後の40分ほど、私も練習させてもらった。練習が終わったらHurleyの神保さんが迎えに来てくれていた。
カリッサや市の方がBBQパーティーに是非参加して行ってと言って下さったので、カリッサ、神保さん、牧之原市長、私で同じテーブルに座ってBBQを食べ、フラダンスや花火も打ち上がってハワイにいるような時間だった。最後に、カリッサとTEAM USAのみんなとお別れしてまた明日湘南で会うことになった。帰りの車では神保さんに3日間で起きた事、感じたこと全てを話した。夜11時くらい、茅ヶ崎の家に届けてもらって、お風呂に入ってすぐ就寝した。
11月4日
7時に起床。爆睡だった。楽しくて、新鮮でその時は全然疲れなんて感じなかったけど、いざ家に帰ると自分、相当緊張していたのだなと思った。
大仏が見たいといっていたので鎌倉を案内しようと決めた。私と父とカリッサだけなので、カリッサのボディーガードにならなきゃと朝から気を引き締めていた。
10時にカリッサ達と海浜公園の駐車場で合流。辻堂の海まで歩いて、一緒に波チェックした。もも~腰くらいの風無しクリーンだった。江ノ島をバックに写真を撮った。自分がサーフィンを始めて、生まれ育ち、何度も自転車で通った海沿いの道をカリッサと歩いて胸が熱くなった。カリッサに憧れてサーフィンを始めたあの頃は、将来カリッサとここに来るなんて想像すらしてなかっただろう。
カイとカイパパはサーフィンをしたいと言う事で大仏をパスして湘南のホテルに向かった。カリッサと私は父の運転で鎌倉へ。その前にお昼がまだという事ではま寿司に行った。タッチパネルの式にカリッサはとても驚いていたし、お寿司が来るスピードに感激していた。サーモンやお稲荷さんが好きみたい。たくさん笑ってとても楽しかった。
鎌倉について大仏を見学、お線香を買ってカリッサと一緒にお祈りをした。紅葉がとても綺麗だった。お土産屋さんを見て、小町通りを歩き、みたらし団子を買って、鎌倉の海を見ながら沢山お話しした。
アスリートとしての価値観、今後のしたい事、他の選手の事、お互いの家の事、恋愛の事、お互いの愛犬の事などなど。選手としてのカリッサはもちろん、プライベートなカリッサを沢山知ることができたのが何よりも嬉しかった。カリッサも沢山質問してくれたので自分のことも沢山話した。
鎌倉を出て、羽田空港に向かった。お父さんには申し訳なかったがカリッサも私も車で爆睡した。チェックインして、カリッサをゲートまで見送り、見えなくなる最後まで笑顔で手を振ってくれた。
別れてから少ししたら長文のメッセージがカリッサから送られてきた。ジーンとして涙腺が崩壊しそうだった。
カリッサがくれた言葉を胸に刻んで同じ舞台に行けるように色々ともっと頑張らなければいけない。世界一の人は人格も世界レベルだった。逆に人格が世界レベルじゃないとスポーツでも世界一になれないことがわかった。
カリッサと過ごしたこの4日間は自分の人生の大きな分岐点だと思っている。自分のサーフィンも人間性ももっと成長させる必要がある。サーフィンで足りない部分は沢山見つけた。後は人一倍の努力や周りの人への感謝を忘れない事、常に自分と戦い、笑顔で素直でいること、それらがこの先、成長するにあたって、一流のアスリートになる為に必要不可欠な事だと改めて分かった。
カリッサ、Team USAの皆さん、静岡県の皆さん、そして今回この機会を与えてくださったHurley Japanの皆さん本当にありがとうございました。早く追いつく為に頑張ります。
馬庭彩
カリッサ・ムーアInstagram:https://www.instagram.com/rissmoore10/
馬庭彩Instagram:https://www.instagram.com/sai_maniwa/
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