最近、プロやアマチュアの間で話題になっているのが「バニラピッチ」というアプローチ法です。ショートゲーム専門コーチの “ショートゲーム・シェフ”といわれるパーカー・マクラクリン氏が提唱するメソッドで、特別な技術を必要とせず、再現性の高いアプローチが打てると多くのゴルファーに支持されています。具体的な打ち方やミスせずに打つコツを紹介しましょう。
提唱者はPGAツアー優勝歴のあるパーカー・マクラクリン氏
1979年生まれ、米国ハワイ州ホノルル出身のパーカー・マクラクリン氏は2003年にプロ転向し、ミニツアーやPGA下部ツアーで経験を積んだ後、PGAレギュラーツアーでシード選手として活躍。2008年の「レジェンズ・リノ・タホ・オープン」で優勝した経験のある人物です。第一線から退いた後はツアーコーチとして活動し、PGAツアー通算7勝、メジャー通算2勝などの戦績を誇るコリン・モリカワ選手らを指導してきました。そんなマクラクリン氏は、自身がアプローチイップスで悩んだ経験から、「ミスの可能性が最も少ないシンプルな打ち方」を追求してバニラピッチを推奨するようになりました。
ちなみに「バニラ」とは「標準的」や「当たり前」などのニュアンスがある英語圏のスラング。アイスクリームのバニラ味が語源で「誰にでも合う」という意味があるそうです。
距離や状況に合わせてSW以外を使うのが成功の秘訣
簡単にいえば、手首を使わずに体重移動を極力抑えるのがバニラピッチ。いわゆるパターのストロークのように打つアプローチです。シンプルでミスが少ない打ち方として話題ですが、いくつかのポイントを守らないとザックリやトップをする恐れがあります。
まず大切なのは番手選びです。パターのストロークのように振る打ち方のため、例えば30ヤードのアプローチでSWを使うと、振り幅が大きくなりすぎて手首や体重移動を使ったり、余計な力が入ってしまいます。打ちたい距離や状況に合わせてショートアイアンやミドルアイアン、場合によってはユーティリティやフェアウェイウッドなどを使い、小さな振り幅で打つことでミスの可能性を減らすことができます。
ヒールを浮かせてトゥ寄りで構えてザックリ防止
続いてアドレスのポイントを確認しましょう。スタンス幅は狭めにするのがベター。両足の間隔はクツ1足分くらいに留めましょう。スイング中の軸ブレや体重移動を抑えやすくなります。また、ボールの近くに立って手元のポジションを高めにし、クラブを吊るように持つことも大切です。その際はクラブのソール面を地面にべったり付けるのではなく、ヒール側を少し浮かせてトゥ寄りで構えるのがポイント。インパクト前後での地面の抵抗を最小限に留めることができ、スムーズに振り抜きやすくなります。
グリップは指先でクラブを握らず、手の平で包み込むように握るのも大切です。これでスイング中に手首を使いにくくなり、スイングの再現性が高まります。パッティングの際に逆オーバーラッピングやクロスハンドで握る人は、同じグリップにしてもOKです。さらにバニラピッチのイメージが出るかもしれません。
シャフトが垂直になるようにハンドレイト気味でアドレス
アドレスの際はボールポジションにも注意しましょう。バニラピッチは基本的に転がしのアプローチですが、右足寄りにボールをセットするとダウンブローがキツくなってリーディングエッジが地面に刺さる可能性があります。ボール位置は両足の真ん中かやや左寄りがベター。また、ハンドファーストにせずにシャフトが垂直になるようにハンドレイト気味で構え、左足6対右足4の体重配分で構えることでザックリを防ぎやすくなります。
アドレスが完成したら、後はパッティングの要領で胸郭や背中などの大きな筋肉を使って体を動かしましょう。親指の先を常に地面に向けておく意識でスイングすると、手首でクラブを操作することがなくなるはずです。
右手の平でボールを転がすイメージを持つと距離感が合う
上記のアドレスやスイングでも打点が安定しない場合は、テークバックでヘッドをインサイドに引くクセがあるかもしれません。始動からインサイドにクラブを引くと、ヘッド挙動が不安定になります。バニラピッチのヘッド軌道はストレートが基本。パッティングのように、「真っすぐ引いて真っすぐ出す」イメージでヘッドを動かしましょう。
距離感の精度をさらに上げたい人は右手の感覚を活かすのがオススメです。アドレスからフィニッシュまで右手の平をターゲット方向に向け、右手で転がすイメージを持ってください。ゆっくりとボールを運ぶイメージが湧いてタッチを合わせやすくなります。
アプローチでダフリやトップのミスが多い人、距離感が合わない人はバニラピッチを活用すればスコアがまとまりやすくなるはず。ぜひ実戦で使ってみてください。