ハワイは日本人にとって一番身近な旅先の一つ。サーフィンについても同様で、多くのサーファーが波やトロピカルな環境を求めてハワイへ旅します。特に冬のハワイはサーフィンの本格的シーズン。その魅力をお伝えします。
サーファーにとってのパラダイス
ハワイといえば楽園のイメージを思い浮かべる人は多いでしょう。年間を通じて常夏の気候、そしてありのままの自然が残る環境など、魅力たっぷりの旅先です。冬になっても海水温は高く、日によっては水着のみでサーフィンできることもあります。
冬はハワイのサーフィンのベストシーズンと言えます。よくサーフィンメディアなどでトピックとして取り上げられるのが、冬のオアフ島ノースショア。世界最高峰と呼ばれる美しくもヘビーな波が出現し、腕に自信のあるサーファーがその波を求めてこの地にやってきます。もちろん他のシーズンも異なるコーストラインで素晴らしい波を見つけることは可能ですが、世界を見渡しても他では見当たらない、プロサーファーをも惹きつける唯一無二の波がブレイクするのが冬のノースショアなのです。
この地を特別な存在にしているのが、実に短い海岸線の中に世界を代表するさまざまなタイプのサーフポイントが密集しているというところ。これは俗に「8マイルの奇跡」とも言われ、そこに点在するスポットのほとんどが、サーファーであれば誰もが一度は聞いたことがあるに違いない場所なのです。代表的なところで挙げれば、ワイメア、パイプライン、サンセットなどなど…。いずれもコンテストやフリーセッションを問わず名の知られたポイントで、メディアにもよく取り上げられています。 短い海岸線なので、極端な話、クルマを持たずに自転車を利用してポイントを移動することが可能です。日本からも武者修行のため多くのトップサーファーが冬のノースを訪れますが、レンタカーをしない人もいるほど。特に運転免許を持っていない若者が自転車を手に入れて、そうしたポイントをコンディションに合わせて移動しながらビッグウェーブアタックをしている姿をよく見かけます。そういったことが奇跡と呼ばれる所以の一つです。
ウインタースウェルの構造
冬のハワイといえばヘビーな波を思い浮かべる人が少なくありません。もちろん波がそれほど大きくない日もありますが、確かに波はパワフルで、一般の人にはハードなことが多い。普段の日本では考えられないくらいの非日常的な波。そんな波が割れるのには、いくつかの理由があります。
まずは、北太平洋海域で猛烈に発達した低気圧がうねりの発生源になっているということ。冬になるとこの海域は低気圧によって荒れに荒れます。そこで生まれたうねりが、遥か遠く離れたハワイにまで届くのです。その距離なんと6,000km以上! こうして遠距離を旅する間に、最初は不規則だったうねりが他のうねりと重なり合い、大きくなりながら整えられ、ビッグウェーブへと成長していきます。
また、ハワイが持つ地理的な条件がビッグウェーブの要因の一つでもあります。ハワイは周囲に何もない海域で突然火山が爆発してできた島です。この「周りに何もない」というのが肝で、つまり北太平洋海域からハワイにまでうねりが届く間、うねりのエネルギーを減退させるような陸地がないのです。うねりは成長し続けたまま、ハワイの北海岸に到着するので、大きく、パワフルな波がブレイクする、ということになります。
そして、突然隆起した島なので、周りには大陸棚などの浅い海域がありません。深い海域を進んできたうねりは、急激に浅くなる海岸の手前でそのパワーを爆発させます。それまで溜められたエネルギーが一気に解放されるので、その波の力もとんでもなく強くなるというわけなのです。
ビッグウェーブの価値
今回は冬のハワイと題して、オアフ島にのみ絞って紹介してきましたが、ハワイ諸島の他の島でも基本的には同じことが言えます。有名なところでは、マウイ島のホノルアベイや、通称「ジョーズ」と呼ばれるピアヒなどが冬のポイントとして広く知られています。いずれもとんでもないエネルギーを含んだ、他ではあり得ない波。オアフ島ノースショアの海岸で本格的にサーフィンされるようになったのは1950年代と言われていますが、近代サーフィン発祥の地として知られるハワイは、各島々でこうした波があるからこそサーフィン文化が発展し、世界中のサーファーを虜にしているのです。たとえ波が大きすぎて自分のサーフィンスキルでは太刀打ちできないとしても、ただ見て、感じるだけでも価値のあるデスティネーションと言えるでしょう。