#59 田中大貴の飽くなき挑戦

Posted on : December.23.2024

着実にステップアップを重ね、2023年にはチャレンジャーシリーズ(CS)への出場も果たした田中大貴選手。その経験を経て、見えてきたビジョンはいったいどんなものなのでしょうか。これまでの戦いで得たものと、今後の展望について、詳しく聞いてみました。

――2023年の話になりますが、田中大貴選手が初めてCSに参戦した年となりました。そこでは総合で82位という結果に。多くの学びがあったかと思いますが、2024年は何をどう活かそうと考えて試合に臨んだのですか?

「2024年のCSにリクオリファイするには、2023年のCSで20位以内に入らないといけませんでした。10位以内はCTにクオリファイというシステムですよね。そんな中、自分にとってはCSで戦うこと自体が未知の世界で、第一戦のオーストラリア・スナッパー(ロックス)の試合に出て、『これは20位以内に入るのは無理だ』と思ったんです。なので、思考を変えて、『どんなに負けても、CSを全戦まわって、負けて気づいたことを2024年に活かそう』と目標を設定し直しました。むしろ、負けまくるしかないっていう感じでしたね」

――その第一戦目で悟ったときは、具体的にはどんなところでそう感じたのでしょうか?

「一人一人の選手の試合に対する目の色というか、気合いの入り方というか…。自分もそれなりに準備してきたつもりでしたけど、点数の出し方とかもわからなかったし、自分のサーフィンでどれくらい点数が出るのかとかも予想がつかなかったし。QS(クオリファイイングシリーズ)だったら慣れているし、会場の雰囲気もわかっているじゃないですか。でも、CSは一つ一つの試合のスケールが大きい。そこに圧倒されたのもありますね。だから20以内に入るのは時間がかかるなって思ったのが正直なところでした」

――これくらいのパフォーマンスだったらこれくらいの点数が出るという自分が描いていた予想と、実際の点数ではギャップがありましたか?

「そのギャップは意外となかったです。自分として良い感触を得たライディングだと、やっぱりぐっと高い点数が出ていました。というよりも、なかなか表現しづらいんですけど、QSで自分の成績が良いときって、泊まる宿の雰囲気から、ゼッケンを受け取る場面とか、会場入りしたときの雰囲気とかに至るまで、馴染んでいる感じがあるんです。だけど、CSのときは一つ一つに違和感がありましたね。そんなに簡単じゃないっていう。だからこそ、一番大事なのは、CSの舞台で継続的に戦っていくっていうことだと思っています」

――CS一年目だと、今までサーフィンしたことのないポイントで戦うことにもなりますよね?

「そうなんです。たとえサーフィンし慣れたポイントでも、CSとなると違うんですよね。例えばスナッパーの場合なんか、もともとフリーサーフィンだと波取りも含めて得意な場所なんです。昔からコーチングも含めて年に2、3回行くこともあったので。だからわかっていたポイントだったのに、普段のあのサーファーの多いポイントからいきなり試合で人が自分含めて4人という状況にがらっと変わったときに、本当に波がわからなくなっちゃったんですよ(笑)。それまでは人がごちゃっといる中での波取りが上手かっただけで、シンプルにスナッパーのどこの地形が良いのかわかっていなかったというか。頭が真っ白になりましたね」

学びから結果へ
――そういった2023年のCSでの経験があって、2024年に活かすことのできた部分は何だったのでしょうか?

「どうしたらサーフィンが上手くなるか考えているのはもちろんなんですけど、最悪の状況に自分が追い込まれたときにどうしたら良いのかっていうのを常に考えるようになりました。たとえばCSのヒートで相手の選手に8点のエクセレントスコアを出されたとするじゃないですか。これは本当にあり得るシチュエーションだと思うんですよ。CSはどのヒートもQSでいうファイナルみたいなヒートなので。そうなったときに、自分がどう対処していったら良いのか。これはCSを経験して学んだことですね。QSの場合、8点出せる波が来たら、8点を出せるんですよ。でもCSはどう見ても5、6点しか出せないような波でも8点のライディングをしてくるので。そうなると、マークする範囲が広くなって、相手が逆転するのに必要なポイントが8点だったとしても、5、6点の波からマークしなきゃいけない。試合展開が簡単に、本当にオセロみたいにひっくり返っちゃう。だから、フリーサーフィンのときの練習で、もちろん良い波を狙うっていうのは当たり前なんですけど、そんなに良くない波でも上手く料理して良いスコアにできるように心がけてやっています」

――その結果の一つとして、9月に行われたQSのIBK Hyuga Proで見事に優勝。3000ポイントを獲得しました。このときの勝因は何だと自分自身で分析していますか?

「メンタルトレーナーと御前崎の試合(QS3,000のWhitebuffalo Omaezaki Pro)のときから毎週のように連戦していて、このときが3戦目でした。1戦目と2戦目の負けがあったから、この3戦目で優勝できたと思っています。特に2戦目で良い成績が残せなくて。最悪の状況っていうのをメンタルトレーナーと話してはいたんですよ、ボードが折れたとか、追い詰められたとか。でも、オンショアが強くて、シチュエーションコールが聞こえず、自分が何位につけているのかわからない状況っていうところまで想定できていなかった。それで迷いが出てしまった。だから、3戦目のHyuga Proのときは、本当にいろんな最悪のシチュエーションを話しながら考えましたね。ヒート前に毎回、ホワイトボードに書き出してもらって、それからヒートに向かっていったので、逆転されても全部想定内だったんです。どんな状況になっても焦ることなく、対処できていたと思います」

――田中大貴選手といえば、常に安定した試合運びが印象にあります。そして、特に試合になると、もともと持っているポテンシャルが発揮される傾向にあると感じられます。これは自分でも強みとして認識している部分ですか?

「そうですね。朝の練習のとき調子が悪くても、どうせ試合になれば良い波に乗れるし、良いパフォーマンスは出せるから、っていう考えにはいつもなっていますね。自分の最大の強みは、試合のときに良い波を選びとることができるというところと、練習のとき以上のパフォーマンスを出せるところだと思っています」

――また、フィジカルトレーニングを多く取り入れている印象ですが、主にどんな部位を強化しようとしているのでしょうか?

「自分の性格上、1人のトレーナーにずっと見てもらうっていうのができなくて。もちろんトレーナーを信頼していないわけじゃないんですよ(笑)。ただ、いろんなトレーニングを取り入れるのが好きなんです。サーフィンはバランス能力が問われるスポーツなので、その中でも軸を捉えながら、ジャンプとかの際、着地でブレないようなトレーニングを特にやっています」

――見ている方としても田中大貴選手はコケないという印象はあります。

「どんなにすごいライディングをしても、コケたら意味がないじゃないですか。だから、絶対にコケないような、体幹を鍛えるトレーニングはやっていますね」

ステップアップのその先へ
――2024年はこれまでのところ、QSのアジアランキングで7位。この結果を自身ではどう捉えていますか?

「まだスケジュールは発表されていないですけど(2024年12月10日現在)、QSのアジアリージョンは残り1戦か2戦でランキングが確定します。そんな中で、1戦目と2戦目の負けがあったから3戦目の優勝があったっていうさっきの話じゃないですけど、やることを淡々とやっていけば、あとは結果がついてくるって思っています」

――Hyuga Proでキッカケを掴んだ部分はあるのでしょうか?

「優勝したのが初めてで、その勝つためのリズムを掴めたことは今シーズンの残りと、来シーズンに向けて絶対に繋がってくるかなと思いますね」


――現在使用しているボードのディメンションと特徴を教えてください。

「ノーマルボードのディメンションは5’8”×18 3/8”×2 5/16”です。体重は67kgで、ボリュームが 25.7Lくらい。もともと幅が18 1/2”のボードに乗っていたんですよ。スタンスがオープンスタンス気味なので、幅があるボードだと前に乗りすぎて、カーブのときに外から回るようになったり、ポケットから外れたりしていて。今のジャッジクライテリアだと、少しでもポケットを外れると点数が伸びないので、少しだけ幅を狭めて、脚力がある方なので逆に厚みを上げる方向でチューンナップしました」

――最後に2025年の目標と、その後の展望、そしてサーファーとしてのゴールを教えてください。

「2025年はCSにクオリファイすることと、CSに出場して確実に50位以内に入ることを目標としてやっていきたいです。もちろんCSでトップ10に入ってCT入りするのがその先のゴール。3、4年以内に実現できればと思っています」

YOU MAY ALSO LIKE

JOURNAL TOP