今シーズンのPGAツアーは、イングランド出身のトミー・フリートウッド選手が年間王者に輝きました。しかし、8月下旬に年間王者が決まった後も2025年シーズンのPGAツアーは続いています。10月は日本でもPGAツアーの公式戦『ベイカレントクラシック』が開催され、シーズンは11月まで行われるのです。PGAツアーはどんな競技スケジュールで運営されているのでしょうか。日本のツアーとは少し異なるその仕組みを改めて整理しましょう。
PGAツアーの年間シリーズ名称は「フェデックスカップ」
国内の男女ツアーは、賞金ランキング(男子ツアー)とポイントランキング(女子ツアー)という違いはありますが、春先の開幕戦から秋の最終戦にかけて各大会での賞金、ポイントを積算してランキングを争います。国内男子ツアーは『ゴルフ日本シリーズJTカップ』、国内女子ツアーは『JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ』が最終戦。文字通りにシーズンを締めくくる最後の試合が“最終戦”となります。
一方のPGAツアーは大きく分けてレギュラーシーズン、プレーオフ、フォール(秋季)シリーズがあり、それぞれの最終戦があります。
現在のPGAツアーは、「フェデックスカップ」の名称で年間シリーズを開催。今シーズンは、松山英樹選手が優勝した1月の開幕戦「ザ・セントリー」から始まり、7月末の最終戦『ウィンダム選手権』までをレギュラーシーズンとして全36大会が行われました。
36試合の中には、四大メジャーや第五のメジャーといわれる旗艦大会『プレイヤーズ選手権』、そして通常のトーナメントよりも高額&高ポイントで出場人数が絞られるシグネチャー・イベントといわれる8大会が含まれています。シグネチャー・イベントは高額ツアーのLIVゴルフに対抗するために作られた大会といわれています。
プレーオフ3試合は出場枠が徐々に絞られるサバイバルゲーム
レギュラーシーズン36試合の後に開催されるのがプレーオフです。こちらのステージに進出できるのはレギュラーシーズンのポイント上位者のみ。プレーオフは3試合行われますが、1戦目の『フェデックス セントジュード選手権』に進出できるのはレギュラーシーズンのポイント上位70人です。ここまで進んだ選手には、来シーズンのシグネチャー大会を除いた全試合のシード権も与えられます。
プレーオフ1戦目のポイントを加算した上で上位50人に入ったプレーヤーは、プレーオフ2戦目『BMW選手権』に進むことができます。出場した選手には、来シーズンのシグネチャー・イベントを含む全試合の出場権が与えられます。
そして、2戦目終了後のポイント上位30名のみがプレーオフ最終戦『ツアー選手権』に出場します。この試合で優勝したプレーヤーが年間王者となるわけです。
ちなみに、昨シーズンはプレーオフ第2戦までの順位に応じ、最終戦スタート時にハンディキャップが設けられていました。しかし、今シーズンはハンデ制を撤廃。全員がイーブンパーからスタートし、もっとも良いスコアだったプレーヤーが年間王者の称号を手にするというフォーマットで行われました。
来季のシード権を争う「フェデックスカップ フォール」
8月下旬のプレーオフ最終戦『ツアー選手権』が終わって年間王者が決まると、9月から11月までは全7試合の日程で「フェデックスカップ フォール(秋季シリーズ)」がスタート。シリーズのメインテーマは来シーズンのシード争いです。
シードを獲得できるのはポイントランキング上位100人です(今シーズンは125位まで)。前述のように今年のプレーオフ2戦目に進出した50人には来季の全試合に出場する権利が与えられているため、51位以下の選手たちがランクアップを狙って出場するわけです。日本勢ではPGAツアー参戦中の久常涼選手や金谷拓実選手、大西魁斗選手らが今シーズンのフェデックス フォールに出場しています。
10月に日本で開催される『ベイカレントクラシック』は同シリーズの3試合目。ランク51位以下のプレーヤーのシード争いがメインですが、松山英樹選手やコリン・モリカワ選手、ザンダー・シャウフェレ選手ら、50位以内で来季のシードを確定させているプレーヤーも出場します。ちなみに51位以上の選手が出場してもポイントは加算されません。
「フェデックスカップ フォール(秋季シリーズ)」は11月の『ザ・RSMクラシック』で終了。この大会が2025年シーズンのPGAツアー最後の試合ということになります。
シーズン途中の最終戦に年間王者が決まるのはなぜ?
ところで、PGAツアーはなぜ現在のようなスケジュールを組んでいるのでしょうか。主な理由は2つあるといわれています。ひとつは他スポーツのビッグイベントと時期をズラすため。従来の最終戦が行われていた11月は、アメフトやメジャーリーグなどが最も盛り上がるタイミング。スポーツファンの興味を集めるために8月に最終戦を移動させました。
もうひとつの理由は、ファンに最後まで興味を持ってもらうため。圧倒的に強いプレーヤーが現れると、シーズン途中に賞金王(年間王者)が決まることになります。それでは終盤戦の関心が薄れてしまうことになるため、「プレーオフ最終戦の勝者が年間王者」という現在の形になりました。
今回紹介したシード枠や各試合に出場するための条件は他にもありますが、大枠は上記の通りです。国内ツアーの仕組みに慣れていると不思議に感じるかもしれませんが、競技モデルを把握するとPGAツアーをより楽しく観戦できるでしょう。