#61 伸び盛りの今、考えること。岩見天獅

Posted on : January.27.2025

若い頃から注目を集め、世代ごとのトップシーンを駆け上がってきた岩見天獅選手。今年、20歳という節目を迎えるにあたって、彼が描いている成長はどんなものなのでしょうか? 現在の立ち位置を含め、ここからどうやってゴールに向かっていくのか、その道筋を聞いてみました。

コンペティターとしての現在地
――2005年6月19日生まれの19歳。ここまでのところ、自分自身が前から描いていた状況と、現在の立ち位置を比べてみて、自分自身でどう感じていますか?

「自分自身で思い描いていたのは、18歳か19歳でCS(チャレンジャーシリーズ)を回っているという絵でした。それを考えると、出遅れているなっていうのが正直なところ。焦っているわけじゃないけど、本気で気合いを入れていかないといけないって感じています」

――それでも、2024-2025年シーズンでQSのアジアリージョンのトップに入れば、CSを回ることはできますよね?

「そうです。だから、今シーズンでCSにクオリファイできれば、まあまあかなと思いますけど、実際にはやっぱり少し予定よりも遅れているので、悔しい思いが強いです」

――CSにクオリファイするのも、CT入りを目指す過程の一つだと思います。確かにCTの壁は厚いですが、経験を積んで突破口が見えてきた頃ではないかと推測しますが。

「2023年は少しだけCSをスポット参戦できて、そのとき戦ったサーファーたちが2024年のCSで勝ったりしていたので、『意外といけるんじゃないか』っていうのは感じました。ボコボコにやられたときもあったんですけど、その頃よりも今の方が体も仕上がってきて戦える状態なので、今CSに出場したらどうなるのかなっていうのは気になるところです。特に体が大きくなって、ターンの大きさ、ラインの太さも変わってきたと感じています。体重が7、8kgは増えたので」

掴んだ手応え
――2024年はフィリピンのクラウド9で行われたQS5,000のシャルガオ・インターナショナル・サーフィン・カップで3位入賞、3,042ポイントを獲得しました。グレードの高い大会で、高ポイントを目指してオーストラリアからも実力派サーファーが勢揃いした中での好結果となったことについて、何が良かったと分析していますか?

「このときは波選びと、テイクオフする場所のチョイスが良かったと思っていいます。自分の中でそこが見えていたので」

――クラウド9は典型的なリーフブレイクで、チューブライディングの出来がポイントを大きく左右するスポットです。普段、ビーチブレイクをホームスポットとする岩見選手にとって、慣れた波質とは言い難いですが、どうやって対処したのでしょうか?

「もともとチューブには自信がありました。しかもこのとき、いつもより1週間早く現地入りして、練習したんです。リーフブレイクなので、地形は変わらないじゃないですか。なので、自分でどこがベストなテイクオフポジションか、ランドマークを見つけて把握しておくようにしていましたね。試合のときは迷いが出なかった。それが良い結果が出た要因の大きな一つだと思います」

――チューブライディングのテクニックはどこで培われたと考えていますか?

「やっぱり志田(釣ケ崎海岸)ですね。志田のチューブは、狭い中でけっこう走っていかないと抜けられないんです。そのチューブの中を走る技術はそこで練習してきたから身についたと思います。その志田のチューブと比べると、クラウド9は比較的簡単に感じたんですよ。やっぱり場所が決まっているので。重要なのは立つ場所とタイミング。そこさえ間違えなければ。しかも出口までチューブが開いているのがほとんど。あと、このとき初めて(フィリピン人の)フィルマー(・アリパヨ)にコーチをお願いしました。『これかな?』って自分が思う波が来ると、フィルマーも『ゴー!』って声を出してくれるので、やりやすかったし、実際にその波に乗れば6点、7点が確実に出ていました。そういうシチュエーションは何回もありましたね」

――クラウド9での3位という結果もあり、2024-2025のQSアジアランキングは現在のところ5位。CSにクオリファイできる好位置につけています。

「でも、5位は崖っぷちなので、気を緩めることはできないです。今はシーズンオフですけど、自分の中ではオフではない感じですね。2位から7位くらいまですごく僅差なんですよ。だから、自分が勝てば一気に上にいけるって考えています。でも、逆に負けたらヤバい」

進化を求めて
――それを踏まえて、2025年の目標を教えてください。一気にCT入りを目指す形にしたいと考えていますか?

「CSにクオリファイして、20位以内を狙っていきます。そうすると2026年のCSリクオリファイができるので。CSでの土台を固めていきたいです。その先はCT入りで、2年でクオリファイしたい」

――サーフィンのコンペティションではエアーの重要度が年々高まっています。自己分析として、エアーは得意ですか? また、エアーの重要度についてはどう捉えていますか?

「エアーは不得意なんです。でも、エアーができないと試合ではダメなので、かなり練習しています。エアー強化のために今やっているのはトランポリン。週1か、2週間に一回は通って練習しています。空中での感覚がわかってくるんです。海に入って20本、波に乗っても、エアーしている時間はすごく少ない。トランポリンの成果もあって、成功率は上がっていますね。普通のエアーリバースならちゃんとメイクできているので。この冬でさらに精度を高めていきたい」

――岩見選手といえば、テール乗りの印象がありますが、普段使っているボードのディメンションと、特徴を教えてください。

「5’10 1/2”×18 5/8”×2 1/2”で、ボリュームは27.5Lくらい。実は2024年の最終戦になった台湾の試合のあとから少し乗り方を変えていて、これまでは全部後ろに乗ってやっていたんですけど、今はボトムターンからリップに向かっていくときに前足を使えるように練習しています。前足の膝の使い方がもともと下手なんですよ。リップが単調になっちゃってて。そこは強化している部分です」


2つの大きなゴール
――フィジカルトレーニングも積極的に行なっていますが、体の中で強化している部分はどこですか?

「お尻と背中周りの筋肉です。お尻の筋肉が強くなるとライディングが安定して、ボードに伝えられる力が変わってきます。背中の筋肉はパドリング。CSで戦うとなるとパドルバドルは非常に激しいので。みんな驚くくらいパドリングが速いんですよ」

――岩見選手といえば、エンドセクションでの際どいロールインが一つのシグネチャームーブとして印象深いです。自分でもそこは強みとして感じていますか?

「そうですね。CSでも最後のワンターンで点数が結構出ていたので、ピンチのときでも使える技として良いかなと思っています。コンビネーションの最後のフィニッシュとしても使えますし。絶対に決められる自信があるので。ただ、それだけを狙うのは良くないと思うので、もっとバリエーションを増やしていくことが課題の一つですね」

――キッズたちに向けてコーチングも開催しています。これはどんな意図があってやっているのでしょうか?

「子供のサーファーたちをもっと盛り上げていきたいんです。下の世代が育ってほしいですね。だから、自分が教わってきたことや、自分がやってきたトレーニングを教えています。結局は日本人サーファーがもっと強くなってほしいっていう気持ちが強いんです。自分が引退したあとでも、すごいサーファーが出てきてほしい。あと、他の人にアウトプットすると自分にも良い効果として返ってきます。自分にとってもすごくプラスになっていますね」

――最後に、サーファーとしての究極のゴールを教えてください。

「目指すゴールはワールドチャンピオンです。それと、オリンピックで金メダルを獲ること。22歳でCTに入りたいんですけど、そのタイミングでCTに入っていれば、23歳で開催されるロサンゼルスオリンピックで自動的に出場権を獲得できるので。(千葉県)一宮町の選手が2人連続でオリンピックに出場してきたから、自分も絶対それに続きたいですね」



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