#36 台風シーズンに向けて

Posted on : September.26.2023

一般的にはやっかいな存在ですが、サーファーにとってみれば極上のビッグスウェルを届けてくれるある意味嬉しいのが台風。2023年もすでに多くの台風がやってきていますが、通年であれば9月と10月は日本における台風シーズンのピーク。だからこそ、そんな季節の過ごし方についてここで考察していきましょう。

台風の仕組み
台風、つまり猛烈に発達した熱帯低気圧はだいたい毎年5月頃に1号が発生し、そのシーズン到来を静かに告げます。シーズンが進んで気温が上がると日本近海の海水温も上昇して、台風の発生件数が増えてきます。真夏になってくると台風は大量に発生しますが、日本列島を覆う高気圧の勢力が非常に強いため、台風があまり接近できず、サーファーにとっての本格的な台風シーズンとはなりません。つまり、高気圧の勢力が弱まってくる9月や10月こそ、極上の台風スウェルにありつける最大のチャンスなのです。
サーファーにとって一番の理想となる台風は、日本から程よく離れた海域で台風が発達した上で停滞し、うねりのみを届けてくれるパターンです。そうなると日本の陸地への影響はほとんどなく、天気は良くて風も微弱、ただ形の整ったパワーのある波だけがブレイクするということになります。それが日本列島を舐めるようなコースを取ってくれたらまさに最高! 太平洋側の海岸であれば隈なく良い波にありつける状況になるはずです。

心身を整える
そんな台風スウェルに対して、サーファーは十分な準備をしておかなければなりません。本来であれば災害さえもたらすやっかいな存在の台風。その中で海に入っていくわけですから。下手をすると重大な事故にも繋がりかねません。
それにはまずは自分の身体を整えることから始めましょう。普段なかなかサーフィンに行けず、運動もしていないという状況なら、台風の海に入るのはおすすめできません。海の中では強烈な流れが発生し、次々と大きな波がやってきます。上手く波に乗れないどころか、ラインナップに行くのも難しいでしょう。流されてしまうことだって十分にあり得ます。そうなると自分自身が楽しめないどころか、周囲にも迷惑がかかってしまいます。きちんと体調を整えてから台風の波に向かっていくのはサーファーとしての鉄則です。

台風には台風用のギアを
次にギアを整えましょう。普段よりも大きくパワーのある波で乗るわけですから、サーフボードは当然通常使っているものよりも長めのボードが求められます。いわゆるステップアップやガンと呼ばれるタイプのボードが好ましい場合もあります。ブレイクの形にもよりますが、ノーズロッカーも強めの方がいいでしょう。特にホロウな波の場合には若干細めで、強いロッカーのボードの方が適しています。
また、忘れてはならないのがリーシュコードです。台風の場合、ブレイクするときの力は普段の波とは段違いに強く、ワイプアウトしたときなど強烈な勢いでボードが引っ張られます。そんなときに足とボードを繋ぐリーシュコードが細すぎたり劣化していたりしたら…。考えただけでもぞっとしますね。リーシュコードが切れてしまったら、強いカレントが発生する海を独力で泳いでビーチまで戻らなくてはいけなくなります。台風の海に行く場合には、比較的新しい太めのリーシュコードを用意することを忘れずに! できれば新品のビッグウェーブ用リーシュコードを購入することをおすすめします。

決して無理をしない勇気
もうひとつ大切なことは、なるべく1人で海に入らないようにするということ。やはり台風の海は普段のときとは違います。危険度も格段に上がってくるので、不測の事態に陥ったときでも助けを求められる状況をあらかじめ作っておくのが肝心です。もちろんそうならないような細心の注意が必要ですが、もしものときを考えておくのも重要なこと。もちろん一緒に海に入った相手のことも気に掛けることができるのでお互いにとって安心です。
そして、絶対に無理をしないこと。自分のレベルや体調を過信せず、無理と感じたら勇気を持って海に入るのをやめましょう。自分の能力を超えるコンディション時にパドルアウトしていくのは、勇気ではありません。ただの無謀な行為と言えるでしょう。
いつもとは違うコンディションでのサーフィンとなるのが台風で、それだけにさまざまな注意が必要です。ただ、それでも良い波に乗れたときは、普段は味わえない最高のフィーリングを得ることができるはず。安全を確保した上で、正しいアプローチで台風シーズンを楽しみましょう。


YOU MAY ALSO LIKE

JOURNAL TOP