#37 ツアープロとして、父として、監督として――。シニアルーキー増田伸洋が描く未来地図

Posted on : November.03.2023

長年レギュラーツアーで戦い、優勝経験もある増田伸洋プロは、今年からシニアツアーに参戦している。持ち前のドライバーの飛距離を武器に、多くの試合でベスト10フィニッシュ。シーズン途中ながら、すでに来年のシード権を確定させる活躍ぶりだ。そんな増田プロには、ツアープロとしての顔だけでなく、大学ゴルフ部監督としての顔、プロを目指す子を持つ父親としての顔がある。3つの顔を持つ増田プロは、どんな未来地図を描いているのだろうか。

――シニアツアー参戦にあたり、どんな準備をしてきましたか?

昨年は、試合勘を失わないように下部ツアー(ABEMAツアー)に出場したり、先輩プロから様々な情報を収集していました。その中で、伊澤利光さんからクラブセッティングについて、「お前はドライバーの飛距離でアドバンテージをとれる。2打目で短い距離が残るシチュエーションが増えるはずだから、長いクラブよりも短いクラブを充実させた方がいい」とアドバイスをもらいました。今までは14本のうち、ウェッジは2本だけでしたが、助言を受けて3本に変更しました。
準備万端で今年3月の「予選会・最終予選」に挑みましたが、結果は23位。出場試合が限られる順位に終わってしまいました。それでも、4月の開幕戦「金秀シニア 沖縄オープン」で無事にシニアツアーデビューすることができました。

――初めて出場シニアツアーの印象は?

最初は期待感しかなかったのですが、初日に永久シード権を持っている倉本昌弘さんとシニアツアーで何勝もしている秋葉真一さんと同組になったんです。大先輩と同じ組ということを知った途端、一気に緊張しました(笑)。
また、最終日は羽川豊さん、高見和宏さんと同組でした。先輩たちに迷惑をかけないようにプレーしていると、「そんなに急ぐ必要ないよ!」と言ってくださり、自分のペースでプレーできるようになっていきました。シニアツアーは、どの選手からも「みんなで盛り上げていこう!」という気持ちが伝わり、プレーしていてとても楽しいです。

――まだシーズン途中ですが、賞金ランキング30位以内が確定し、すでに来年のシード権獲得が決まっていますね。

シード権獲得は今年の目標のひとつだったのでホッとしています。ただ、欲をいえば優勝したいですね。ある試合で中嶋常幸さんにお会いした時、「55歳までに優勝しないと年々厳しくなっていくぞ」と言われました。60歳を過ぎてから優勝する選手もいますが、やっぱり若い方がチャンスは多いのは事実ですからね。
優勝するためには、ショートゲームの精度をさらに上げていくことが大切だと考えています。ただ、最近は老眼と乱視が進み、グリーンでラインが読みづらくなってきました。新しく眼鏡を作ったのですが、眼鏡をかけてパットをすると、カップが実際の半分くらいに見えちゃうんですよ(笑)。ライン読みの時だけ眼鏡をかけることも考えましたが、つけたり外したりするのは煩わしいし…。目の調子が良い時はラインが読めるので、今は眼鏡をかけずにプレーしています。ライン読みはキャディさんに頼っています。

――今年は、プロゴルファーを目指している長男の康輔さんがキャディを務めた試合もありましたね。

レギュラーツアー時代も何度か担いでもらったことはありますが、息子がキャディをしていて予選通過したのは、10月の「日本プロゴルフシニア」が初めてでした。息子は今年のプロテストで最終まで進んだこともあり、以前よりもだいぶ頼もしくなっていました。「日本プロゴルフシニア」は6位タイでしたが、息子に助けられた部分は大きかったです。

――康輔さんは高校時代からゴルフを始めたそうですね。プロゴルファーになりたいと聞いた時はどんな気持ちでしたか?

自分と同じ職業を目指す嬉しさが半分、反対する気持ち半分でした。ツアープロはテストに合格するだけではダメ。成績を出して稼いでいかないといけません。その苦しさを自分が経験してきたので反対していたんです。それに、今はジュニアからゴルフをしている子が多いので、彼らに負けないためには何倍も練習しなければいけませんから。
ただ、本人がどうしても頑張りたいというので、「それなら研修生になりなさい」とゴルフ場に預かってもらうことにしました。私自身も研修生からプロになったこともあり、彼にとってそれがベストだと思いました。研修生はゴルフ場の業務をこなしながら、色々な年代の方と関わっていくので社会勉強にもなるんですよ。今年のプロテストには落ちましたが、まだまだ焦る必要はありません。じっくりと時間をかけ、ツアーで稼いでいける力をつけてもらいたいです。

――ところで、今年は流通経済大学のゴルフ部監督にも就任されましたね。

学生時代、付属の高校でラグビー部に所属していた縁で、当時のラグビー部監督から声をかけてもらいました。新しくゴルフ部を作りたいという話だったのですが、研修生上がりの私には学生ゴルフの経験がありません。そこで、大学ゴルフ部の監督をされている知り合いに連絡し、仕組みや環境作りなど色々と相談しました。
春の時点で新入生が1人、その後に在学生が3名入部して現在は4名が在籍しています。まだまだ模索中ではありますが、今後プロを目指す学生が入部した時にしっかりサポートできるよう環境を整えようと考えています。

――最後に今後の目標を聞かせてください。

まずは、早いうちにシニアツアーで1勝を挙げること。来年は「日本シニアオープン」が千葉カントリークラブ川間コースで開催されるのですが、僕が研修生を過ごした思い出の地なので頑張りたいですね。また、レギュラーツアー時代に優勝した時は息子と娘はまだ小さかったので、2人に優勝する姿を見せたい気持ちもあります。息子がキャディをした試合で優勝できたらそれこそ最高ですね。
もうひとつは、息子がプロになるまで第一線で頑張り続けること。シニアツアーの先輩たちを見ていると、熱量が高くて、「自分もまだまだ腐っている場合じゃない」と感じることが多いんです。先輩方を見習って、情熱を持ってゴルフと向き合っていこうと思っています。


YOU MAY ALSO LIKE

JOURNAL TOP