2016シーズンの国内男子ツアーで賞金王を獲得した池田勇太プロ、2020-21シーズンの国内女子ツアーで賞金女王に輝き、2021年の東京五輪で銀メダリストになった稲見萌寧プロ、そして今シーズンは米女子ツアーを主戦場にしている吉田優利プロと西郷真央プロ。4人の共通点をご存じでしょうか? それは千葉県にある「北谷津ゴルフガーデン」でジュニア時代を過ごしていたということです。打撃練習場とショートコースを併設するこのコースではなぜエリートゴルファーが生まれているのでしょうか。
“北谷津っ子”のプロゴルファーは20人以上!
池田勇太プロ、稲見萌寧プロ、吉田優利プロ、西郷真央プロ以外にも、北谷津ゴルフガーデンで育ったプロはいます。市原弘大プロや木下裕太プロ、大岩龍一プロ、葭葉ルミプロ、安田彩乃プロなどなど、なんと20人以上のプロゴルファーが北谷津ゴルフガーデンから誕生しているのです。ちなみに、片山晋呉プロ、宮本勝昌プロとともに“日大三羽ガラス”の一人としてアマチュア時代から有名だった横尾要プロも学生時代は北谷津ゴルフガーデンで練習をしていたそうです。
年長ジュニアが年下の面倒を見るのが北谷津流
これだけ多くのプロゴルファーを輩出していることから、北谷津ゴルフガーデンはいつからか “ジュニアゴルファーの聖地”と呼ばれるようになりました。エリートゴルファーを育てるため、どんなレッスンを行っているのか気になるところですよね。
しかし、実は大人のレッスンプロが手取り足取りゴルフを教えることはほとんどないそうです。北谷津ゴルフガーデンには「楽しくなければゴルフじゃない」という合言葉があります。ジュニアたちにゴルフというスポーツを純粋に楽しんでもらうため、大人たちは極力口を出さず、子どもたちだけで練習する機会が多いそうです。
ショートコースをプレーする時も基本的に大人は同行しません。面倒を見るのは年長ジュニアの役目。ジュニア育成を始めた初期は、当時小学校の高学年や中学生だった市原弘大プロ、池田勇太プロが年下ジュニアたちにゴルフを教えながらラウンドしていました。
レンジ&ショートコースで“止まる球”の重要性を覚える
ゴルフが上手い年上のお兄さんとラウンドしていると、「あんな球を打てるようになりたい」、「スイングを真似したい」と憧れを抱くのが子どもというもの。お兄さんに少しでも近づけるように、自主的に一生懸命練習するようになっていくわけです。
また、北谷津ゴルフガーデンにはショートコースだけでなく、打撃練習場が併設されていることも大きなポイント。例えば、レンジでボールを打っている時は誰よりも飛ばしているのに、コースに行くとグリーン上でボールが止まらずにスコアをつくれないジュニアがいます。一方、飛距離はそこそこなのにグリーンに止まるボールが打てるため、好スコアでプレーするジュニアがいます。
すると、飛距離が出るのにスコアをまとめられない子どもは、「どうして僕のボールはグリーンに止まらないんだろう」と考え、ボールが止まる打ち方をマスターしていくのです。
“ナイスショットの勘違い“をしていませんか?
レンジでは良い球が打てるのにコースに出るとレンジのように打てないケースは大人のゴルファーにもありますよね。いわゆる“練習場シングルさん”です。コースでナイスショットが打てない理由は、「ナイスショットの勘違い」が要因のひとつです。
レンジのマットは滑りやすく、手前からヘッドが入ってもボールを拾ってくれるため、「良い球が打てている」と錯覚することがあります。また、手前から入ってヘッドが滑るとヘッドスピードが上がりやすくなる点も落とし穴。いつも以上にボールが飛ぶことがあるため、「一番飛距離が出るこのインパクトの感覚が正解なんだ」と勘違いしやすいのです。
トップ気味にヘッドを入れるのが正しいインパクト⁉
しかし、そのフィーリングのままラウンドするとどうなるでしょう。コースの芝はマットのように滑らないため、手前から入るとダフリが止まらなくなります。それに、手前からヘッドを入れるスイングではスピンが入らないため、セカンドショットやアプローチでグリーンに止まる球も打てません。
では正しいインパクトとは? ボールの赤道から赤道の1㎝下までの間にリーディングエッジを入れるのがナイスショットのヘッドの入れ方。このインパクトができると打感はソリッドになり、乾いた打音がします。手前からヘッドを入れるのが正しいインパクトだと思っている人には、「トップした」と感じるフィーリングかもしれません。
ボールと地面の間にキレイにヘッドを入れるのはダフリの元。トップ気味の球を打つつもりで練習していると、グリーンで止まりやすい球を打てるようになっていきます。
小さい砲台グリーンでのプレー経験が実戦に活きる
上達のエッセンスはグリーンにもあります。北谷津ゴルフガーデンは小さい砲台グリーンでコウライ芝を採用しています。1月から3月は12フィートものスピードが出ることもあります。また、アンジュレーションがあるグリーンが多く、乗せるエリアを間違えると奥にこぼれたり、グリーンをキャッチしても難しいラインが残ってしまうこともあります。そのため、北谷津ゴルフガーデンのショートコースは「ティショットをグリーンの手前に置き、アプローチで寄せてパーをとる」という戦略が必要なホールもあります。「手前から攻める」はコースマネジメントのセオリーですが、ジュニアたちはプレーしながらその重要性を学んでいくわけです。
北谷津ゴルフガーデンの教訓は、大人のゴルファーにも活きてきます。本当のナイスショットのフィーリングを意識し、「手前から」のマネジメントを徹底すれば、スコアメイクしやすくなるはずです。