前回はシングルフィンとツインフィンの話をしましたが、今回はその続き。現在、最もポピュラーなトライフィンに加え、クアッドやファイブフィンなどについて解説します。
トータルバランスに優れたセッティング
フィンはサーフボードの舵取りという役割を果たしますが、その本数によって、サーフボードの性能は大きく変わります。フィンセッティングにはいくつかの種類がありますが、その中で最も一般的で、一番多くの人に使われているのがトライフィンです。
トライフィンはスラスターとも呼ばれ、フィンが3本付いているセッティングです。センターに1本、サイドに2本で、基本的にはすべて同じ大きさとなります。スタンダードなパフォーマンスショートボードはほぼすべてこのトライフィン・セッティングを採用しており、競技サーフィンの最高峰であるワールドサーフリーグ(WSL)のチャンピオンシップツアー(CT)のトッププロたちが乗っているのも、トライフィンのサーフボードです。安定性と回転性、スピード性のバランスに優れており、オーソドックスな乗り味を楽しめます。もし初めてショートボードを作りたいと考えているサーファーがいるのならば、おすすめするフィンセッティングは間違いなくこのトライフィン。1980年代初頭に登場して以来、最もポピュラーなセッティングとして知られています。
程良いルース感が気持ちいい
次に紹介するのは、トライフィンよりもフィンが1本多い、クアッドと呼ばれるタイプです。トライフィンとは違い、クアッドにはセンターフィンがありません。代わりに、サイドにそれぞれ2本ずつフィンが付いています。イメージとしては、ツインフィンのやや内側・テール寄りに小さめのフィンが付いている、と考えると分かりやすいかもしれません。乗り味はツインフィンとトライフィンの中間で、横に進む加速性に優れながら、加えて回転性にも優れているタイプです。単純にフィンの数が多いため、フィンが波に食い込みやすく、ターンしやすいのが特徴の一つでもあります。一方で、センターフィンがないため、ルースなフィーリングも味わえます。短めのボードとは相性が良く、特に小波用のボードのセッティングとしてもポピュラーです。また、横への高い推進力と波への食い込みの良さから、ビッグウェーブ用のセミガンやガンにクアッドのフィンセッティングを採用するサーファーも多くいます。
使い分け可能な5フィン
現在、最もフィンの数が多いタイプが、5フィン(ファイブフィン)と呼ばれるフィンセッティングです。ただし、ボードに5本のフィンを取り付けられるようにはなっているものの、実際に5本付けて乗るサーファーは限られています。トライフィンかクアッドのセッティングを、波質や気分によって使い分けるのが一般的です。つまり、両方の乗り味を楽しめるということ。ただし、フィンプラグには少し重さがあるため、5フィンのボードは純粋なトライフィンやクアッドのボードと比べると、やや重く感じるかもしれません。
変わった乗り味を試したいなら
最後に紹介するのは、最近チラホラと乗っているサーファーの姿が見られるフィンセッティング、アシンメトリーです。つまり、左右非対称のタイプで、片側が1本、反対側が2本となっています。通常はつま先側が1本、かかと側が2本で、メーカーによっては、レギュラーフッター用のアシンメトリーフィンとグーフィーフッター用のアシンメトリーフィンを販売しています。なぜつま先側が1本、かかと側が2本かというと、それは体重による大きな力をボードに伝えやすいのが、かかと側だからです。大きな力を加えてもよりホールドしやすくするために、かかと側を2本のセッティングにしているのです。
アシンメトリーのフィンセッティングは特殊で、専用のサーフボードが必要となります。つま先側の1本とかかと側のフィンプラグがセッティングされている位置がまったく違うため、クアッドや5フィンのボードに取り付けることは基本的にできません。サーフボードのデザイン自体が非対称である場合がほとんどです。オーソドックスなトライフィンやクアッドとは違うフィーリングを楽しみたい、というような、ちょっと異質なサーファーに好まれているフィンセッティングです。
このように、フィンはサーフボードの性能に大きく関与しますが、はっきりしているのは、もともとのボードデザインのコンセプトが最初に存在する、ということ。サーフボードのシェイパーが、特定のフィンセッティングの乗り味を想定してボードを作っている、ということなのです。