#41 サーフボードの進化を知る

Posted on : February.02.2024

サーフィンは多くの道具を必要とせず、比較的気軽に始められるアクティビティ&スポーツです。そんな中で、サーフボードは最も重要でなくてはならない「相棒」。サーフボードが現代に至るまでにどうやって進化していったのか、その過程をここで今一度追っていきましょう。

1930〜1950年代、近代化の流れ
近代サーフボードの歴史が始まったのは1930年代と言っていいでしょう。1929年にトム・ブレイクがパドルボードに穴を開けて軽量化し、薄くスライスされた合板でボードのトップとボトムを覆うことで、初の中空サーフボードを作り、サーフィンに革命を起こしました。これが最初の量産型のサーフボードデザインと認識されています。
また、フィンの発明も1930年代。1935年にトム・ブレイクがサーフボードのテールに小型スピードボートから取ってきた小さなフィンを取り付けたのが始まりでした。
さらなる量産化の波は、ポリウレタンフォームやファイバーグラスといった素材の開発・改良と共にやってきます。きっかけは第二次世界大戦。さまざまな素材技術が進歩し、それがサーフボードにも応用され始めたのです。

1946年にはピート・ピーターソンがレッドウッドのストリンガーを使用し、ファイバーグラスのテープで密閉した初の中空成型プラスチック製サーフボードを製作します。
そして、1950年代に入ると第二次世界大戦中に開発されたポリスチレンやポリウレタンなどの新しいプラスチック・フォームが本格的に使われるようになります。実際、1955年にはホビーサーフボードのラミネーターであるゴードン・クラークがバルサに代わるポリウレタンフォームの金型を開発し始め、

1958年にはホビーサーフボードがポリウレタンフォーム製サーフボードのみの生産を開始したのです。
その後の1958年、ポリウレタンフォームのブランクスを強化する手段として、ストリンガーがサーフボードに登場し始め、1961年には、ゴードン・クラークはホビーを退社し、ポリウレタンフォームブランクスの世界的なトップメーカーとなるクラークフォーム社を設立しました。こうして現代のメインストリームとなるサーフボードの工法が確立されていったのです。

1960〜1970年代、ショートボードの発展
1967年は「ショートボード革命」の年として知られています。
同年、ボブ・マクタビッシュは10’0”の長さだったモデルを7’6”まで極端に短くしました。一方、ディック・ブリュワーは1967年の春からハワイのサーフィン用に短いサーフボードのシェイプを始め、9’6”だったボードを8’6”にカットしたミニガンを開発。

1960年代半ばには、ファイバーグラスだけで作られたフィンがウッド&ファイバーグラスのデザインに取って代わるようになります。フィンの標準的な形もイルカの背びれに似たデザインに発展し、よりシャープなターンができるようになっていきました。
60年代も後半まで進んでいくと、Veeボトムの誕生に続いてラウンドテールが登場し、ショートボード革命の大きな一歩として普及していきます。

1970年になると、ジェリー・ロペスとジャック・シップリーがサーフボードブランドであるライトニングボルトを設立。彼らは当時流行していたデザインであるラウンドピンのシングルフィンを微調整し、すべてのボードのデッキに稲妻のデザインをあしらい、世界的なセンセーションを巻き起こしました。

1972年、カリフォルニア出身のマルコム&ダンカン・キャンベル兄弟がボンザーを開発。最初は3フィンモデルで、2本のキール状のサイドフィンがセンターフィンのやや前方に位置し、2本のコンケーブがミドルとテールセクションを貫いていました。

1977年になると、オーストラリアのマーク・リチャーズが、ディック・ブリュワーの協力を得て、ツインフィンの6’2 “を開発。究極の小波用ボードとして広く人気を博しました。
そして、この頃になると人の手に取って代わって機械がシェイピングを行うマシンが登場し始めます。フランスのボードメーカーでありエンジニアでもあるミッシェル・バーランドが、1979年に初のコンピュータ化されたシェイピングマシンを発明したのです。

1980〜1990年代、現代に繋がるデザインの進化
1980年代に入って、現代のボードデザインの主流であるトライフィン=スラスターが世の中に登場します。サイモン・アンダーソンは、3フィン・セットアップのコンセプトを応用し、1981年にスラスターを生み出しました。この新しいシステムは、シングルフィンとツインフィンの長所を統合し、サーファーのよりアグレッシブなスタイルに、より優れたコントロール性と素早いレスポンスを提供。すると世界中のサーファーが3フィン・セットアップに乗り換え始め、すぐに市場で最も人気のあるサーフボードデザインとなっていったのです。
また1980年代は、チャンネルボトムやスカッシュテールなど、スラスターのサーフボードにさまざまなデザインコンセプトが組み合わさった時代でした。

1990年代になると、サーフボードにさらなる大量生産の波が押し寄せます。1994年、CAD/CAMソフトウェアの開発により、コンピュータ設計によるサーフボードの作成が本格的に可能となります。製造がより合理的かつ正確になって、発泡素材からまったく同じデザインのサーフボードをマシンでシェイプできるようになったのです。

90年代半ばのもうひとつの開発は、ボトム形状としてシングル・トゥ・ダブルのコンケーブを再発明したことでしょう。これはボトムのセンター付近に浅く広いコンケーブを施し、それがテールに向かって2つのコンケーブに変化して流れ込むというもの。これによりボードのスピード性能とターン性能が飛躍的に向上。ボトムに注力したデザインでしたが、1990年代で最も重要なボードコンセプトのひとつとして挙げられています。
さらに、1990年代には取り外し可能なフィンシステムが開発され、徐々に普及。2000年代にかけて一般化し、サーフボードの主流となっていきました。

2000年代〜現代、サーフボードは個性の時代へ
その2000年代は、サーフボードにおける多様化の時代と言えるでしょう。
2000年代初頭に、カール・エクストロームは彼自身のアシメトリー理論に基づいたサーフボードを製造。2004年には、シェイパーのトム・ウェゲナーがオーストラリアで桐材を使ったアライアスの生産を開始します。一方、日常的にサーフィンをするサーファーたちは、より使いやすくボリュームのあるサーフボードをオーダーするようになり、日常的なショートボード市場では「短く、太く、広い」コンセプトのデザインへと明確にシフトしていきました。

2006年から現在にかけて、サーフボードにもエコブームが到来。例えば、フォームや樹脂の成分の一部を大豆、砂糖、藻類由来の素材に置き換えたバイオフォームやバイオレジンが誕生するなど、環境に優しい素材の使用はコアとなるブランクス材から樹脂やクロスに至るまで、サーフボード製造のすべての工程において大きな進展を見せています。こうした動きは、まさに多様化したサーフボードデザイン&コンセプトの一例と言えるでしょう。

このように、サーフボードはテクノロジーの開発やサーフィン業界の発展などと共に進化を続けてきました。そして現在は、より幅広いニーズに応じてさまざまなタイプのボードが市場に出回っています。あとは波の上でサーフボードを駆使して、どう自分を表現していくか。そして、もちろんどんなときもサーフィンを「楽しむ」ことを忘れないようにしたいものです。

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