PGAツアー通算82勝はサム・スニードと並ぶ史上最多タイ、メジャー通算18勝はジャック・ニクラウスに次ぐ歴代2位――。ゴルフ史上、最も有名なプレーヤーのひとりであるタイガー・ウッズは、数々の記録を打ち立てて世界にその名を轟かせてきました。しかし、その栄光の陰には度重なる故障があり、復帰とケガを何度も繰り返しています。完全復活に向けて治療を続けるタイガーのカムバックの歴史を振り返ってみましょう。
手術後に足を引きずりながら
「トリプル・グランドスラム」達成
タイガー・ウッズが最初にメスを入れたのは2008年の春。4月の「マスターズ」を2位で終えた直後でした。前年から痛めていた左ヒザを手術し、2か月後の「全米オープン」でツアーに復帰します。完治しない中での強行出場でしたが、プレーオフを戦い抜いて見事に勝利。この優勝によりすべてのメジャー大会で3回以上優勝する「トリプルグラウンドスラム」の快挙を達成しました。
しかし、その代償はあまりにも大きいものでした。足を引きずりながら18ホールとエキストラホール1ホールのプレーオフを戦った影響もあり、左ヒザを再度手術することになったのです。結果、残りのシーズンを欠場しなければならなくなりました。
10度目の賞金王を戴冠するも
腰痛の影響で自己ワースト「82」
ツアーに戻ったのは翌2009年の3月です。約9か月ぶりにカムバックして、復帰2戦目で優勝するなどこの年は7勝をマーク。2季ぶり9度目の賞金王を獲得しました。同年は11月に交通事故で負傷するアクシデントにも見舞われましたが、翌2010年の「マスターズ」でツアー復帰しました。しかし、本来の輝きを取り戻せずにいました。
勝利から遠ざかっていたタイガーは、2012年の「アーノルドパーマー招待」で2年6か月ぶりに復活勝利を遂げます。同年は「AT&Tナショナル」でPGAツアー優勝回数が単独2位となる74勝目をマークしました。
2013年は年間5勝を挙げて10度目の賞金王を戴冠しましたが、翌2014年は腰痛が悪化して再び戦線を離脱。ツアー出場はわずか9試合に留まり、未勝利でシーズンを終えました。
2015年も腰の痛みと付き合いながらプレーを続け、自己ワースト「82」を叩いた試合もあったほど。2シーズン連続で未勝利となりました。
幾度の手術を乗り越えて
日本開催の大会で通算82勝達成
その後もアキレス腱やヒザ、腰などの故障で満足なプレーはできず、2015年、16年の2年間で合計4度もの手術を受けます。2017年はリハビリ中心の生活となり、出場したのは欧州ツアーと非公認競技を合わせてわずか3試合でした。
2018年は1月からPGAツアーに正式復帰。9月の「ツアー選手権」で5年ぶりの復活優勝を飾ります。そして、翌2019年4月の「マスターズ」で14年ぶり5度目の優勝、PGAツアー通算81勝目をマークしました。同年は10月に日本で開催された「ZOZOチャンピオンシップ」で82勝目を挙げ、歴代勝利数でサム・スニードに並ぶという偉業を達成しました。
ゴルフファンに完全復活をアピールしましたが、以降も腰や背中の治療を受けながらのプレーは続きます。2020年は9試合の出場で未勝利。2021年は2月に再び交通事故を起こし、「右足の切断もあり得る」といわれるほど重傷を負って1年間をリハビリに費やしました。
直近の公式戦出場は
2024年の全英オープン
ツアー離脱と復活を繰り返すタイガーが508日ぶりの復帰の舞台として選んだのは、2022年4月開催の「マスターズ」でした。初日は「71」の10位と上々のスタートで予選を突破しましたが、結果は47位に終わっています。復帰2試合目の「全米プロ」は右足の痛みで途中棄権。7月は、“ゴルフの聖地”といわれるセントアンドリュースで開催された「全英オープン」に出場し、148位タイ(通算9オーバー)の予選カットで終戦しています。2022年の出場はメジャー3試合のみでした。
左足や背中の手術を受けた2023年は、2月「ジェネシス招待」(45位)、4月「マスターズ」(途中棄権)、11月にツアー外競技の3試合に出場。2024年は2月「ジェネシス招待」(途中棄権)のほか、四大メジャーの合計5試合のみの出場となりました。60位だった「マスターズ」以外のメジャー3試合は、すべて予選落ちという結果です。
カート使用が認められる
シニアの大会でツアーに復帰?
多くのファンが完全復活を待ち望んでいますが、昨年は3月に練習中にアキレス腱を断裂し、10月に椎間板ヘルニアの手術を受けるなど状態は芳しくないように思われます。
そんなタイガーが2月に開催されたホスト大会「ザ・ジェネシス招待」の記者会見で自身の今後についてコメントを残しました。「フルショットの練習を再開している」と明かしましたが、復帰についての具体的な時期は未定のようです。
タイガーは昨年の12月に50歳の誕生日を迎え、チャンピオンズ(シニア)ツアーの出場資格も得たことも話題のひとつです。同ツアーはカート使用が許可されるほか、レギュラーツアーよりも短い54ホールの戦いとなるため、「復帰しやすいのでは?」という声も上がっています。本人は“シニア参戦”も選択肢に入れつつ、復帰に向けて準備を進めているようです。
他にも、過去5度の優勝経験がある「マスターズ」に出場するのか? 次回ライダーカップ(2027年開催)の米国選抜キャプテンに就任するのか? などタイガーの話題は尽きません。50歳を迎えたスーパースターの動向に世界中のゴルフファンが注目しています。