#45 ケガと共に歩むゴルフ人生 鉄人・平塚哲二 “3度目の初優勝”への道のり

Posted on : May.10.2024

骨折したままツアー優勝したり、二日酔いのまま最終日最終組を迎えたり、海外メジャーに挑戦したりと、平塚哲二は話題に事欠かないプロゴルファーだ。レギュラーツアー6勝、アジアンツアー3勝の実績を持つ平塚は現在52歳。50歳の誕生日を迎えた2021年11月からはシニアツアーを主戦場にしている。波乱に満ちたこれまでのゴルフ人生を振り返ってもらうとともに今後のプランを聞いた。

――靭帯断裂や骨折、腰痛、ワキ腹痛、腱鞘炎など、数々のケガや病気を抱えながら試合に出続けたことから “鉄人”と呼ばれていた平塚プロ。特に印象深いのは2004年5月のツアー2勝目です。春先に大ケガを負って、完治しないまま出場した試合で優勝しましたね。

プライベートのラウンド中に思いっきり転んで左ひざの靭帯断裂と左肋骨の剥離骨折をしました。全治3か月以上と診断されたのですが、3週間後にはギブスをして試合に出ていました。その試合はさすがに予選落ちしましたが、ケガから1か月半後の「三菱ダイヤモンドカップ」で優勝しました。

しっかり治してから試合に出るべきだという人もいると思いますが、自分は子どもの頃からそんな感じ。額を割って血が流れているのに、医者にも行かずに自然治癒させたこともあるんです。ケガをしても、ゴルフをしていた方が治りは早い! 30代まではそんな考えで試合に出ていました。でも年齢には勝てません。45歳くらいからは、しっかり休まないと治りにくい体になってしまいました。

――平塚プロには数々の“酒豪伝説”があります。「最終日最終組の前日に深酒をした」とか「二日酔いのまま優勝争いをした」などの話は本当ですか?

事実です(笑) 上位争いをしている時に酒を控えた時期もあるんですが、だからといって翌日の成績が必ずしも良いわけじゃありません。良いゴルフをして気分が良いのに、酒を我慢して翌日のスコアが良くなかったら……。一番もったいないですよね!? そう思い始めてからは節制するのをやめました。優勝争いをしている時はスコアが良い時ということになりますから、前日はだいたい飲んでいることになりますね(笑)

 ただ、そんな生活で戦えたのも30代まで。どんなに飲んでいてもスタートホールに立つ時には酒が抜けていたのですが、40代以降はヤバい時になると夕方まで酒が残っています(笑) シニア入りしてからは酒の量もかなり減りましたね

――ワールドカップ日本代表や全米プロ、全英オープンをはじめ、米ツアー、欧州ツアーなど、海外の試合に積極的に参戦した時期がありました。海外ツアーではどんなことを吸収しましたか?

2002年に国内ツアーで初優勝をした後から海外にチャレンジし始めました。今振り返ると、それが失敗やったなって思っています。世界のトップレベルが集まる試合では、自分より何十ヤードも飛ばす選手がたくさんいます。そんな選手たちを間近で見て自信をなくし、「もっと飛ばさないといけない、スイングを変えなければいけない」と、色々と取り入れようとしていました。その結果、少しずつスイングが壊れていったんです。どこの試合に出る時でも自分のスタイルを貫く気持ちがあったら、海外挑戦が良い経験になっていたかもしれませんね。

――それでも2010年はアジアンツアーで3勝をマークしていますよね。

 海外挑戦をきっかけにスイングを変えたことやケガの影響もあり、2008年に成績がガクンと落ちました。アイアンが40y曲がるほどの不振に陥り、「自分はこのまま終わるんかな」と思っていたんです。そんな時に考えたのが、原点に戻ることでした。

実は日本でシードを獲る前、数年間アジアンツアーでプレーしていた時期があるんです。当時は優勝争いできず、上位にすら入れない試合ばかりでした。しかし、「日本でシードを獲って優勝もしている今の自分なら、違う結果になるかもしれない」と再びアジアンツアーに挑戦することに。そこでシード権を獲得し、アジアンツアー初勝利も挙げました。自分の成長を実感できたことで自信を取り戻すことができました。

――そんな平塚プロも2021年11月に50歳を迎えてシニアデビューしました。シニアツアーではどんな戦い方をしていますか?

45歳くらいからシニアで戦うことをイメージしていました。レギュラーツアーの出場機会は減っていったので、試合勘を失わないように若い選手に交じって下部ツアーに出場していたこともあります。

30代前半まではドライバーの飛距離を武器にしていましたが、飛距離が落ちてアイアンでゲームを組み立てるスタイルに。その後、ショットの精度が落ちるとアプローチを打つ機会が増えますから、自然にショートゲームのレベルが上がっていきました。年齢やケガとともにゴルフが変化し、今はグリーン周りでスコアを作っていくスタイルですかね。

――シニアツアーに初めてフル参戦した2022年は平均パットが2位という結果でした。パットが良くなった理由は?

シニア入りする前に、メンタルトレーナーに見てもらった時期があります。その時に言われていたのが、構えたらすぐに打つということ。アドレスに入り、ターゲットを確認してフェースを合わせたら1.5秒以内で打ってくださいと言われていました。それ以上時間をかけると、脳にいらない情報が入ってスムーズに打てなくなるそうです。構えてからとにかく早く始動することを意識してからパターがよくなっていきました。

――シニアツアーで何度もトップ10フィニッシュをしている平塚プロですが、今後はやはりシニアツアー初勝利が目標ですか?

優勝できれば良いですが、それよりも毎試合上位争いすることが一番の目標です。たまにしか上位にいないと、緊張するじゃないですか? どの試合でも上位にいれば、いずれチャンスはやってくるはずですからね。

レギュラーツアーで初勝利を挙げる前も、何度も優勝争いをして勝てない時期がありました。「初勝利に一番近い男」、「史上初の未勝利の賞金王誕生か?」などといわれていましたが、当時も上位争いを続けていれば、優勝は後からついてくると考えていました。その結果、2003年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で優勝できました。相変わらずケガは多いですが、シニアになった今も、あの時のように気負わずに良い緊張感の中でゴルフを続けていきます。


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