#65 世界へ向けて高く飛ぶ。小野里弦

Posted on : April.02.2025

世界では次々と若いジェネレーションのサーファーが台頭してきていますが、日本にも有望な若手が育っています。中でも注目度が高いのが小野里弦選手。一際目を惹くエアーを武器に、着実に結果を残しつつあります。そんな小野選手の取り組み方や、今後の目標について切り込んでみました。

伊豆から現れたトッププロスペクト

――生年月日を教えてください。

「2007年2月19日生まれです」

――サーフィンを始めたきっかけは何でしょうか?

「両親がサーフィンしていたのがきっかけです。初めてサーフィンしたのは3歳の頃。ショートボードを本気で始めようと思ったのは小学校3年生のときです。それまではスケートボードのプロを目指していたんですけど、サーフィンの方が痛くないし、楽しいなと思って、サーフィンに転向しました」

――伊豆の伊東市出身。これは自分のサーフィンキャリアにおいてどんな意味を持っていますか?

「伊東市の宇佐美というところでいつもサーフィンしているんですけど、そこの人たちにはすごくお世話になっていて、初めてテイクオフしたのもそこ。自分のサーフィンが始まったところですね。波も初心者にもちょうど良い波が割れますし。台風とかが来て波が上がればちゃんと練習できる波が割れる場所です。そういうところだったからこそ今の自分があると思っています」

――数々のアマチュアタイトルを手にしてきた小野選手ですが、昨年は4月に高知県生見で開催されたジュニアオープンサーフィン選手権で2連覇。このときは波がムネ〜カタ、セットでアタマという中で、プロ資格を持った相手に勝利を収めました。このときの手応えはいかがでしたか?

「ラウンド1とラウンド2はギリギリ勝てたヒートだったんですけど、ファイナルは自分の得意なエアーが出せる波だったので、それが上手くはまって優勝できたのかなって思っています。自分の方に徐々に流れが向いてきたのと同時に、今までの練習の成果を発揮できました」

――さらに、9月に宮崎で行われたNSAの全日本サーフィン選手権大会において、ジュニアクラスでも優勝しました。このときの自己分析として、どんなところが上手くパフォーマンスできたと感じていますか?

「試合が始まる前に、そこにいる人たちの中で一番長い時間波を観察していたと思います。どこでどんな波が割れて、どんなサーフィンができるのかっていうのを把握しようとしていました。その上で試合に入れたので、試合の流れを上手く作れたのかなって思います。そんな中で自分の得意技を出して優勝することができたので、本当に嬉しかったです」

――サーフィンの試合は、技術的なことだけではなくて戦略な部分も勝敗に大きく左右します。どこでどんな波を待つのか、どうやって相手をブロックするのか。そのあたりの戦略はどうやって学んでいますか?

「試合の駆け引きは得意な方じゃないんですけど、アマチュアの試合に何回も出て、その経験を経て少しずつ学んでいって、それが結果に繋がっていると感じています」

世界に目を向けて

――時間的には前後してしまいますが、2024 Surf City Elsalvador ISA World Junior Surfing Championshipにも参戦しました。ですが、U18のカテゴリーで65位。この結果は自分の中でどう捉えていますか?

「本当に最悪でした。目指したのは金メダルだったので。そこからはかなり遠い結果になってしまいました。本当に悔しくて…。日本代表の中でも最初に負けてしまったので、悔しくて、不甲斐ないっていう言葉しか出なかったです。その試合は、流れの作り方が上手く出来ていなくて、良い波も乗れず、それなりの波に乗れたとしてもメイクすることが出来なくて。それにプラスして、サーフィンの実力不足もあったと思います。日本の国内では結果が出ていたし、応援してくれる人たちもいっぱいいたので、残念でした」

――これから何をどう練習して、どの部分を伸ばしていかなければいけないと思っていますか?

「サーフィン自体の実力や、試合の流れの読み方を向上させていかなきゃいけないとは思うんですけど、何よりやっぱりその会場の波を知らなきゃいけない。もっと海を観察していれば良かったというのが反省点としてありました。その反省があったからこそ、その後の全日本選手権ではきちんと波を観察して、優勝に繋げることができたんだと思います。自分は波を見極めるのが他の人と比べて苦手なので、人の何倍も時間をかけて海を見て、そのときのコンディションを理解しておかないといけないっていうのが改めてわかりました」

――小野選手といえばエアー、特にエアーリバースが特徴です。特に自分でこだわっているところはどのあたりですか?

「こだわりはテールハイ。サーフボードのテールを高く上げるスタイリッシュなエアーが自分の得意技です。縦に回転していくのが特徴で、成功率も高くなってきています。ただ、日本の波のパワーだとメイク率が高いんですけど、ハワイとかに来ると波のパワーが全然違って、メイク率がだいぶ下がってしまいます。今はそこに取り組んでいて、エアーを上のレベルにしていきたいなって思っています」

――近年ではエアーはより高く、より3Dになっています。エアーリバース以外で、今、どんな動きのエアーに取り組んでいますか?

「世界戦とかでも使えるようにするために、フルローテーションに挑戦しています。ボードを空中で一回転させるエアーで、その成功率を上げたいですね。バックフリップといって、縦回転に回るエアーにも取り組んでいます。これはまだメイクしていないんですけど」

――当然、海の中でも練習しているとは思いますが、海以外でもそうしたエアーのための特別な練習をしていますか?

「トランポリンを使って、空中での動きの形を作っています。あと、昔やっていたスケートボードを使った練習もしています」

――筋肉を鍛えるトレーニングはどうですか?体はまだまだ成長していると思いますが。

「家で自重を使った体幹トレーニングをたまにやっています。ウエイトを使ったトレーニングは若いうちはあまりやらない方が良いって聞いたことがあるので、まだやっていないですけど。そのうちウエイトトレーニングも始めて、体重を70kgくらいにはしたい。やっぱり世界を目指すにはそれくらいの筋肉と体重はないといけないと思うので」

世界の頂点に向かって

――昨年のさまざまな活躍が評価され、JASAアワード2024ネクストジェネレーションを受賞。これからのさらなる飛躍が期待されています。どんな部分が評価されたと思っていますか?

「一番評価されたのは、ジュニアオープンの二連覇なのかな。エアーをメインとする優勝だったので、そこはみんなの目を惹いてくれたのかなと思いますね」

――今乗っているボードのディメンションと特徴を教えてください。やはりエアーがしやすいデザインになっているのでしょうか?

「日本で普段使っているのは5’7”が多いです。幅とか厚みとかの細かい数字はあまり覚えていないんですけど、割と幅の広い、丸いアウトラインのボードを使っています。厚みも他の人が使っているボードよりあるんじゃないかな。エアーをするのに短くて横幅が広い方がやりやすいので」

――2025年の目標は何でしょうか?

「一番の目標は、ISAのワールドジュニアチャンピオンシップで優勝することです。そのためにも、いろいろな場所に行ってサーフィンをして、経験を積んでいくことが重要かなって感じています。そういった場所で上手い人とサーフィンすることで、自分の中でも良いイメージができますし。今年はハワイに行って、7月中旬にはインドネシアのメンタワイに行く予定です。他のデスティネーションは未定ですけど、来年も冬にはハワイに行きたいと思っています」

――2028年のロサンゼルスオリンピックに出場したいという発言も耳にしています。将来的なビジョンを教えてください。

「ロサンゼルスオリンピックに出場するためには、その2年前くらいには日本のトップになっていないといけない。そう考えると、その頃までにはWSL(ワールドサーフリーグ)のQS(クオリファイイングシリーズ)に出場して、CS(チャレンジャーシリーズ)にクオリファイできるくらいのレベルにはなっていたいです。究極の目標としてはCT(チャンピオンシップツアー)入りをしてワールドチャンピオンになること。ただ、今のままだとQSでも勝てないと思うので、今年一年は修行して、来年からQSを回る予定です。そのあとのスケジュールは詳しく決めていないですが、一つ一つステップアップしていければと思っています」

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