『日本アマ』優勝やナショナルチームメンバー入りなど、アマチュア時代に輝かしい成績を残した小袋秀人プロ。プロテストでも2位に5打の大差をつけてトップで一発合格を果たすなど、順調にプロゴルファー人生をスタートさせた。しかし、プロ入りから数年は思うような成績を残せず、もがき苦しんだ時期があったという。そんな小袋プロにアマチュア時代からプロ初勝利までの話、そして同学年の石川遼、松山英樹とのエピソードを聞いた。
――アマ時代は2012年の『日本アマ』優勝やナショナルチームメンバーに選出されるなど華々しい経歴を残していますね。
その年の『日本アマ』を最後にプロ宣言するつもりだったので、僕にとってアマチュア最後の試合でした。当時の規定ではベスト8に入るとその年の『日本オープン』に出場できたので、試合前の一番の目標はベスト8入りでした。
しかし、マッチプレー1回戦は調子が上がらず、最終ホールの時点で相手にリードされる展開。敗退を覚悟しましたが、運も味方してサドンデスまでいき、勝ち進むことができました。ここからは良い意味で気持ちをリセットできたのが優勝に繋がったと思っています。
『日本アマ』の後はプロの試合にも数試合出場させていただき、『日本オープン』は決勝ラウンドに進むことができました。また、ツアーの出場権獲得まではいきませんでしたが、QTもファイナルまで進めたのは『日本アマ』の優勝が自信になったからだと思います。
――ところで、小袋プロは同学年の石川遼プロや松山英樹プロとアマチュア時代から交流があったそうですね。
石川選手とは小学生時代からの付き合いです。僕は神奈川出身で石川選手が埼玉出身ということもあり、関東のジュニアスクールなどでよく顔を合わせていました。高校1年で彼がプロの試合で優勝した時は衝撃でした。自分とは違う世界にいってしまった気がしました。最近でいう大谷翔平選手を見ている感じでしたね(笑)。でも、会った時はそれまで通りに接してくれていました。今でも一緒に合宿をしたり、試合の時は夜ごはんを食べたりと交流があります。
松山選手は高校時代に知り合いました。ナショナルチームで一緒に過ごした時期がありますが、当時から意識が高く、トレーニングや食事に人一倍気を使っていたのが印象に残っています。
――日本アマ優勝の翌年はプロテストを受験し、2位に5打差をつけてトップ合格。プロゴルファーとして順調なスタートでしたね。
プロテストは優勝を狙う他の試合とは異なり、カットラインをクリアできれば目的達成です。僕の年は通算6オーバーまでの50人強が合格しました。「優勝を目指す」というプレッシャーを感じることなく、心にゆとりを持ってプレーできたことが好スコアを出せた大きな要因でした。
ただ、プロになってからはアマチュア時代のゴルフの組み立て方から抜け出せずに苦労しました時期が続きました。この部分は今でも課題にしているところです。
――具体的にはどういう部分でしょうか。
アマ時代も今も、自分のゴルフの持ち味は攻撃力。ドライバーは飛ばせるだけ飛ばし、とにかくピンをデッドに狙っていきます。ただ、これは長所である一方、短所でもあるんです。例えば「65」を出した翌日に「75」を叩くなど、スコアを継続できないのが課題です。波が激しく、精神的にも疲れてしまうんですよね。
「時には守りのゴルフも必要」だと考えるようになって取り組んでいたのですが、うまくコントロールできず、攻めるのも守るのも中途半端になっている時期がありました。今振り返れば、その頃は基礎的な部分もできていなかったと感じています。
――2020年のABEMAツアー『ディライトワークスチャレンジ』でプロ初勝利を挙げましたが、その頃には理想のプレースタイルを確立していたのでしょうか。
あの試合の前週に『日本オープン』に出場し、初日を9位タイで終えたんです。「このままいけば上位に入れるかもしれない」と守りに入ったのが失敗でした。毎日順位を下げ、最終的には53位タイ。守ることを意識しすぎて自分の持ち味を失っていたんです。その反省を踏まえ、『ディライトワークスチャレンジ』に挑みました。
トップと5打差で最終日を迎え、「いけるところまで攻め続けよう」とギアを上げて9バーディ、ノーボギーの「61」。途中ピンチもありましたが、冷静に判断して「守る時は守り、攻める時は攻める」というメリハリのあるゴルフができました。結果プレーオフになりましたが、最後まで良いメンタルを維持してプレーできたことが優勝に繋がったと考えています。
――2021年は終盤のレギュラーツアー『ダンロップフェニックス』で初めて最終日最終組も経験しましたね。
ABEMAツアーをランキング上位で終え、翌シーズン前半のレギュラーツアー出場権を確定させた状態で出場しました。「順位にこだわらず試合の雰囲気を楽しもう」とリラックスしてプレーできたことが功を奏し、2位タイで最終日を迎えました。
最終日はスコアボードを見ることを忘れるくらい余裕がありませんでした(笑)。でも、最終組の独特の雰囲気の中でプレーすることができ、「プロゴルファーになってよかった」と感じました。結果は9位タイでしたが、最後にバーディを獲れば「トップ10入り」という状況でバーディフィニッシュができたことは自信に繋がっています。
――今年はレギュラーツアーに1年を通して出場したシーズンでした。ベストフィニッシュはポイントターニー方式で行われた『For The Players By The Players』の2位でしたね。
攻撃的な自分のプレースタイルがポイントターニー方式に合っているのかもしれませんね。「バーディを獲れば、次にボギーがきてもいい」と考えてプレーしていました。また、攻守のバランスもよく、3日目「67」、最終日「66」とスコアを伸ばして終われたのも大きな収穫。終盤でスコアを伸ばすという今までの僕にはないパターンでゲームを作ることができました。
プロ入りしてからは石川選手や松山選手の活躍を悔しく思う時期もありましたが、ゴルフがどんどん好きになり、今は「人生で一番ゴルフが好き」と胸を張っていえるくらいです。まだまだ課題は山積みですが、世界を舞台に戦うプレーヤーを目指して努力を続けていきます。