サーフィンがオリンピック競技として採用されて以来、サーフィンコンテスト観戦がより多くの人たちに楽しまれています。現地での生観戦に加えて最近ではオンラインによる配信でトッププロのコンテストが見られるようになり、コンテスト観戦がぐっと身近になったと言えるでしょう。ただし、ライディングの優越がイマイチわからないという人がいるのも事実。そこで、今回は試合を観戦するときにチェックすべきポイントを解説します。
攻めるか守るか
サーフィンのコンテストにおけるジャッジ基準にはいくつかの抑えるべきポイントがあります。その中でも大切なのは、どれだけ攻めたライディングをしているかどうか、ということ。わかりやすく言うと、難しい波のセクションに難しい技を仕掛けていって、成功すると高得点が生まれる、ということなのです。特に波がホレたセクションは攻略するのが難しい。だからこそ敢えて仕掛けていくからこそハイスコアが見込めます。逆に波が切り立っていない、フラットなセクションでいくら多くのマニューバーを描いても、特に高いレベルのコンテストになると得点が伸びていきません。無難に乗りこなすのではなく、常に攻めたサーフィンをした方が高評価に繋がっていきます。
同じ意味で、波の最初のセクションで攻めたライディングをした方が評価は高くなります。テイクオフした後、最初に仕掛けるマニューバーで難しいことをすればするほど、高いスコアが期待されるということなのです。例えばインサイドまで長く乗り繋ぐことができる波に乗ったとしましょう。でも最初のセクションで難しいことに挑戦して失敗したとしたら、その後長く続く波をすべて台無しにしたことになります。それでも敢えて最初に難しいライディングにトライするということは、リスクを犯しているということで、それでも成功すればそのライディングに対して高得点が与えられるのは当然のこと。それだけの対価が支払われるということになります。なので、ライディングを見るときは、どれだけ難しいことを難しいセクションでリスクを負って仕掛けているのか、ということを基準にしましょう。
プログレッシブなライディング
サーフィンコンテストの場合、プログレッシブなライディングに高い評価が与えられます。では、プログレッシブなサーフィンってなに?それは、サーフィンのレベルアップを促すような革新的なライディングということ。例えば今まで見たこともないような高いエアーだったり、誰もやらないような思い切ったマニューバーだったり。わかりやすく言うと、一目見て“派手”なライディングには高い点数がつきやすいです。あまりコンテストに馴染みのない人でもおもわず「うわーっ」と唸るようなライディングは、点数をつけるジャッジにとっても目に止まるライディングになり得ます。
別の言い方をすると、サーフィンのコンテストはある種エンタテインメントでもあります。ジャッジを含め、見ている人を感嘆させるようなライディングは必須なのです。見ている人を飽きさせるようなサーフィンはあまり評価に値しないとも言えるかと思います。
技のバリエーション
他にも見るべきポイントはあります。それは、一本の波でどれだけいろいろなことをやっているのかということです。例えば長く乗れる一本の波で、最初にブローテールをして、ラウンドハウスカットバックで戻ってから、縦に上がるオフザリップ、それからレイバックと繋ぎ、走って勢いをつけてからエンドセクションでフルローテーションのエアーを決めたとしましょう。仕掛けられる5つのセクションでそれぞれ異なる技を展開すれば、それは高い評価につながります。それがどんな技かわからなくても、見ているだけで違うことをしているのはわかるかと思います。
逆にすべてのセクションで同じことをやっていては、それなりのスコアにしかなりません。せっかく長く乗れる良い波に乗ったとしても、ずっと同じことを繰り返していたら、その波を最大限に活かせていないということになります。どれだけいろいろなマニューバーを披露しているかというのは、コンテストにおいて重要なことなのです。これは前述したエンタテインメント性にも繋がることで、見ている人を飽きさせないことも必要ということになります。
プライオリティに要注目
ライディングの優越を決定するポイントは他にも細かくありますが、以上のことがコンテスト観戦に馴染みのない人にもわかりやすい、抑えておくべき事柄となります。そして最後にもう一つ、ライディングの優越ではなくサーフィンコンテストを決定的におもしろくするルールがあります。それは波の優先権=プライオリティ。現代のサーフィンコンテストの場合、ほぼ100%の割合で優先権のシステムが採用されています。つまり、波に乗る優先順位があり、低い優先権を持つサーファーが高い優先権を持つサーファーが乗ろうとする波に手を出してはいけないというルールです。例えば4人ヒートの場合、優先順位が1番から4番まであり、優先順位が2番の選手は1番の選手の波に乗ってはならず、3番の選手は1番と2番の選手の波に乗ってはいけません。同様に4番の選手は他の選手が乗ろうとする波に手を出すことはできません。なので、1番の選手は良い波を選んで乗ることができます。この優先順位は波に乗るたびに入れ替わり、1番の人が波に乗ったら、その選手は優先権を使ったことになり、そのあとの優先順位は4番に落ちることになります。
これはサーフィンコンテストをゲーム化するルールで、必ずしも実力に優れたサーファーが勝つわけではないということを意味します。良い波に乗って良いスコアを出した優先順位の高い選手が、逆転可能な位置につける優先順位の低い選手をブロックし、良い波に乗らせないということも頻繁に起こり得ます。ブロックするためにパドリングで追いかけ回す、なんていうシーンが見られることもあります。逆に優先順位の低い選手は、優先順位の高い選手にあまり良くない波に乗らせようと仕掛けることも。特にヒート終盤には優先権を巡ってそうした駆け引きが起こりやすく、時にドラマをも生み出すので、サーフィンコンテストを見る上では要チェックとなります。
以上がサーフィンのコンテスト観戦における抑えるべきポイントになります。特にオンライン配信でコンテストを見る場合、カメラも状況を追ってくれますし、実況もきちんと解説してくれるので、これらのことを踏まえた上で見るとよりわかりやすく、観戦を楽しめるでしょう。